人間ってええなあ。泣いて、笑える映画「スワン・ソング」。
実在の元ヘアメイクのゲイの老人の物語というのと、ポスターだけ観て、
「おもろそ〜〜!」と思って、予告編も観なかったので、
てっきりキラキラしたおじいさんのコメディやと思って
行ってしまった映画「スワンソング」。
確かにコミカルな部分もあるけど、
どうしてどうして、その頃のゲイの生き辛さや、今にも繋がる社会問題や、
人と人の繋がりの美しさまで描写する、骨太の観応えある映画やった。

脚本がようできてるわ〜。
主人公のキャラクター設定が、しっかりしてるし、
それを、ほろっとするエピソードや、笑えるシーンや、
ちょっとした仕草で、自然に伝えてくれる。
たぶん、同じ町内でそれほど離れてないんやろうけど、
老人が歩くには、結構な距離なのだろう。
主人公が歩きながら、いろんな人と出会う様は、
ロードムービーにも思える。
行く場所行く場所の出来事で、
主人公の過去や、その時感じたことが、
明らかになっていく過程が、面白くて、
それに対しての主人公の今現在の反応も興味深くて、
最後には、この癖ある主人公が好きにならずにはいられなくなってる。
終わり方も、すごくよくて、観終わったあと、
キュンとしつつも、爽快な気持ちになっている。
ギャグとか御涙頂戴とかの軽いことではなく、
人間というものをきちんと描いた上で、
人と人との繋がりで、泣いて、笑えてしもた。
ちょっと癖あって、とっつき悪いけど、
酸いも甘いも知り抜いた人生の大先輩が、
人生の終盤で、過去の自分と向き合って、
清々しい気持ちで残りを過ごす素晴らしい映画でした。