リアルなざらつき。映画「やまぶき」。

やまぶき」はざらついた映画だった。
まずは、全編16ミリで撮られた映像がどこかざらついて見える。
そのざらつきが、よりリアリティを感じさせる。

そして登場人物の人生、生き方が、少しずつざらついている。
時に、どのざらつきが擦れ合い、より大きなざらつきを生む。
そして、うまく研磨し合えば、
お互いの人生を、少し光らせたりもする。

途中、荒唐無稽な展開もあったりするが、
全体としてみれば「そんなこともあるかも」と納得してしまう、
静かな説得力に満ちた映画だった。

舞台は岡山県の真庭市。
通ったことしかないが、蒜山もあって、
いつかゆっくり行ってみたいと思ってる場所だ。

監督さんは、その真庭市で農業をしながら、映画を創ってるらしい。
だからこそ、どのカットにも、
説明できないリアリティがあるのかもしれんなあ。

たぶん、本当のことなんだろうけど、
この映画にも、外国人労働者がたくさん出てくる。
主役の一人も、韓国から来た青年。
話、少しズレるけど、今や日本は外国人の労働力なしでは、
成り立たない国になってしまってる気がする。
そこに、この円安。
稼げる国でなくなってしまった日本は、
外国人労働者にとって魅力のない国に
なってしまってるのではないだろうか。
本当に10年後、20年後、
にっちもさっちも行かなくなってるんやないか、
と、映画見てる途中で怖くなってしまった。

話を少し戻すと、
こういうあまり特徴のない日本の地方都市を舞台にした映画って、
ええものが多い気がする。
都会を舞台にしたものより、
生々しいリアリティがある。
自分の生活の場と向き合い、格闘した結果、
日本という枠を抜け出して、
フッと、世界に通じる作品になる。
本当に、世界に通用する映画って、
メジャーシーンではなく、
こういうところから出てくるんやないか、
そんなことを思わせる、ええ映画でございました。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA