音楽じゃなくても音作りって、やっぱり面白い。映画「擬音」。
予告編観て、単なる音作りへの興味から、映画「擬音」を観に行った。
主人公が、台湾映画の生き証人のような
レジェンドのフォーリーアーティストなので、
単なるSEの話に留まらず、アテレコ、アフレコ、音楽編集、
いわゆる、音声面でのポストプロダクション作業全般から観た、
台湾映画史みたいな側面もある、分厚い映画だった。
観てるうちに、昔のワシのやってた仕事を思い出して、
なんか全然泣くシーンじゃないところで、涙が出たりした。
ワシのキャリアは、ラジオCMから始まったので、
入社からしばらくは、まさに、この主人公と同じく、
オープンリール、6ミリテープと格闘する日々だった。
あの頃、一緒に仕事してた人たち、今はもういない人たちが
頭に浮かんできて、ふと気づくと、
映画のストーリーから離れた場所に行ってたりした。
映画とあまり関係ないけど、忘れられないエピソードをひとつ。
「ウイスキーの氷が、カラン!と立てる音が欲しい」という依頼に、
「ええのんできましたで」とニコニコしながら
カセットを技師さんが、持って来てくれた。
期待しながら聞くと、
「シャ〜リシャ〜リシャ〜リシャ〜リ」。
むっちゃええ感じのかき氷の音が入ってた。
原稿渡してるのに。
「え、、、これって」
「あきまへんか、ええ音ですのになあ」。
ほんま、こんな話し始めると、
なんぼでも出てくるなあ。
![](https://bridgebybridge.net/wp-content/uploads/mv_n1709.jpg)
話を映画に戻そう。
流石に、擬音をテーマにした映画だけあって、
冒頭のシーンから、クリアな、いいSEが散りばめられてる。
ワシはけっこう台湾映画が好きで、
いろいろ観ているので、
こういう現場が観られるのも楽しい。
もともと、こういう職人の現場そのものが好きなので、
なんぼ観てても、観飽きない。
どんどん、電子音などに場所を奪われていってるようだけど、
人間でないと創れない音は、絶対になくならへんやろなあ、
と映画観ながら思ってた。
最後には出てこなかったけど、
この主人公のお弟子さんの若い女の子、
どうしてるんやろう。
ちゃんと仕事があるんだろうか。
元気で活躍してて欲しいなあ。