橋本ヒネモスのBBBムービーvol.13「シネマ組踊 孝行の巻」「日の丸〜寺山修司40年目の挑発〜」「小さき麦の花」「ベネデッタ」。

「シネマ組踊孝行の巻」。

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ひとつひとつの所作、表情、言葉の韻、
定型のメロディ、地謡、
何もかもが、洗練されてた。
歩き方ひとつとっても芸術的。
沖縄文化の粋を集めた総合芸術やと思った。

映画の初めに解説があって分かりやすい。
能や狂言を参考にできたと知って、
少し意外やったけど、
中国の冊封使、歓待するのに、
中国の真似ごとしても仕方ないもんな。
なるほど。

そして、その組踊を映画化する、
この取り組み自体も、芸術やと思った。
予備知識なしに観ると、
頭に何も残らず流れていきそうなものを、
ひとつひとつ心に釘を打つように、残してくれる親切さ。
そしてカメラワーク自体の美しさ。
全然関係ないけど、スパイク・リーの「アメリカン・ユートピア」を
少し、思い出した。

いつかは生で組踊、観たいなあ。
できれば、沖縄の国立劇場で。

「日の丸~寺山修司40年目の挑発~」。

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寺山修司さんのドキュメンタリーかと思ったら、
寺山修司さんの作った番組をモチーフに、
作者自身にとっての「国家とは?」
「国旗とは?」「民族とは?」を問う
ええドキュメンタリー映画やった。
もちろん、それは、観てるワシらにも同じことを
問いかけてくる。

こういうドキュメンタリーって、
なんとなく高所からモノを言ってて、
それが鼻に付くことがあるけど、
この映画は、作者の真摯な姿勢、
誠実な態度が感じられて、
そこにも好感が持てた。

その問いに対する答えは、ここでは伏せておくけど、
それに対しても、作者の誠実な姿勢を感じた。

アイヌの人にインタビューしたり、
ウルトラセブンのノンマルトに関しての
金城哲夫さんの考えに触れてるところも、
ええ視点やなあ、思った。

※ウルトラセブンのノンマルトがヤマトに対する
沖縄を象徴してるという説は、
関係者からは否定的な見方が強い。

そもそも、ワシにとっての日の丸って、なんなんやろう。
ワシは、デザイン的には、ようできたデザインやと思ってる。
あんなにシンプルやのに、シンプルだからこそかもしれんが、
他と間違いようのない、際立ったデザインやと思ってる。

しかし、その旗の歩んだ歴史を考えると、
「好き」と言い切るのには抵抗がある。
けど、映画でも言ってたけど、
そもそも日の丸の意味自体、
きちんと勉強したことがないようにも思う。
「自由・平等・博愛」を表すフランスのトリコロールや、
「イングランド」「スコットランド」「アイルランド」を合体させた
イギリスのユニオンジャックとか、
独立13州と現在の50州を表すアメリカの星条旗みたいな、
わかりやすい意味を学校で教えてもらったことはないような気がする。

調べたら、赤の丸は、やはり太陽で、「日出づる処」から来てるようだが、
その他の意味は、「〜〜と言われてる」みたいな感じで、
明確な意味合いは決まってない感じもする。
好きになるにも、嫌いになるにも、
まずは、そこをきちんと把握してからやないとなあ。
だから、日の丸を巡っては、
いつまでも「好き」やら「嫌い」やら
「尊ぶ」やら「尊ばない」やらの
イメージ上でのあーだこーだが絶えないのかもしらんな。

コメント欄、賑わいました。
(20240224記)

「小さき麦の花」。

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なんとまあ、あっけに取られるくらい淡々とした、
特別な事件のほぼ起こらない展開の映画だった。
中国の農村の貧しい夫婦の慎ましい暮らしが続く。
終盤になって「これから展開あるとしたら、ああいうことしかないよなー」思ったら、
ほんまにその通りの展開になってしまった。

けど、その夫婦が愛おしくてしかたなってしまった。
映像も美しくて、ひとつひとつのシーンが印象的で、
ワシの心にも、小さき麦の花が、押されてしまった。
なんだか不思議な魔法にかかったような気のする映画。

主演の男優さんが、ロケ地に住むほんまもんの農民で、素人さんというのはびっくりしたが、
個人的には、この二人の飼ってたロバに、助演賞を贈りたい。

「ベネデッタ」。

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どうも、キリスト教が入ってると、
ワシの理解の及ばんことが多くなってくるような気がするのだが、
理解はできなくても、ストーリーは楽しめた。

パンデミックとLGBTQの権利が、話題になることの多い今、
この映画を世に出す意味は大きかったんやないかな、思った。

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