橋本ヒネモスのBBBムービーvol.30「午前4時にパリの夜は明ける」「聖地には蜘蛛が巣を張る」「未来は裏切りの彼方に」。

「午前4時にパリの夜は明ける」。

公式サイト

シャルロット・ゲーンズブールが出てるってことで、
セルジュ・ゲーンズブールのファンでもあるワシは、
ほぼ反射神経で観に行ったが、
正直「ようわからんなあ」と思ってしまった。

「午前4時」という時間がそれほどキーになってるとも思えないし
(邦題の付け方の問題かもしれんけど)、
美しい映像ではあるんやけど、登場人物が苦労してるようにも、
成長して行ってるようにも、あまり思えなかった。

シングルマザーで経済的にも苦労してて、パート掛け持ちしながらも、
好きなんで安い賃金でラジオ番組のスタッフやってるって設定なんやけど、
めっちゃええ家、7年間、維持できてるしなあ。

薬物中毒を意思の問題だけにしてる感じも、納得いかなかったっす。

まあ、シャルロットは、やっぱりええし、
音楽も、かなりよかったんが、ワシ的には救いでした。

「聖地には蜘蛛が巣を張る」。

公式サイト

何重にも、後味悪い映画でした。
けど、この後味の悪さこそ、
この映画が暴こうとしてる闇の深さを
表してるんやと思う。

根本には、女性蔑視の社会があるんやろな。
夫婦間で、家庭で、職業の世界で、宗教上でも、あらゆる場面で、
女性は男性より下という意識がベースにあって、
女性も、自分より下の階層の女性を、また蔑視する。
その最下層にいるのが、売春を生業としてる人々で、
16人も娼婦を殺した犯人なのに、
助命嘆願のデモが起こったりする。
「あんな社会のゴミを殺しただけなのに、
ちゃんと働いてる成人男性が罰せられるのは納得いかん」という考え方なのか。

その犯人自身が、連続殺人事件をなぜ起こしたか、
それをなぜ英雄的行為と信じられるのか、
という点へも、鋭く切り込んで描いている。

この映画は、イスラム法の厳しいイラン社会の話ってだけでなく、
性別や人種、民族、性的指向など、いろんな場面で、
人間をマジョリティとマイノリティに分けて、
マイノリティの基本的人権を軽く見る、
すべての社会(つまり現時点のほぼすべての人間世界)への警鐘であり、
人を駒としか考えず、人間性を破壊してしまう戦争への警鐘でもあると思った。

「未来は裏切りの彼方に」。

公式サイト

うむむ、難しい。
これはスロバキアという、ドイツやロシアなどに翻弄されて、
場面場面で、正義がコロコロ変わるという状況が、
頭に入ってないと、理解しづらい物語のような気がする。
それが余計に、目まぐるしく変わる、第二次世界大戦末期という時代だし、
戦時下で、みんな同じような服着てるし、
それでなくても、西洋人の顔を、見分けるのが苦手なワシには、
登場人物を特定するだけでも、ひと苦労でございました。

旦那さんを戦争で亡くした女性が、
人前やのに、ちゃんと悲しんでて、みんながそれを慰めてるシーンで
「そうなんや〜〜」て、ちょっと意外に思った。
第二次大戦中の日本やったら、
お国のために命を捧げた「名誉の戦死」なのに、
人前で、嘆き悲しむのなんて、許されへんかったんちゃうやろか。

ようわからんまま、観てるところはあったけど、
ほんま、個人より国を優先する考え、
しかも、自分たちの土地を占領してる大国を優先する考えは、
絶対に頂けへんなあ、とは思った。

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