愛は永遠なれど、時代に翻弄されて。BBBムービー「さらば、わが愛/覇王別姫 4K」。
昔、映画館で観て、めっちゃ綺麗で好きやったんで、
4Kバージョンを観に行ったら、
さらに美しい映像で満足。
調べたら、1993年、30年前の作品やったんやな。
時代物だから却って古さは感じず、
初めて観る人にも楽しめる映画やと思う。
![](https://bridgebybridge.net/wp-content/uploads/20230519-00010016-realsound-000-1-view.jpg.webp)
30年前より、ワシ自身、中国の歴史にも詳しくなってるので、
前回より、内容は、しっかり頭に入って来た気がする。
映画は多分清朝末の混乱期から、
文化大革命を潜り抜けた時代くらいまでの中国が舞台。
それにしても、目まぐるしく価値観が変わったもんやなあ。
日本の戦前、戦後の価値観の変化も、ものすごいと思うんやけど、
多分、蔑まれながらも保護されてた清朝時代、
日本に占領されてた時代、国民党が支配した時代、
共産党になり、ひと安心かと思ったら、
文化大革命で、今までで一番、迫害された時代と、
価値観が根底から覆されるような時代を、
いくつも、通り抜けて来たんやなあ。
その時代時代、ある程度、権力に寄り添わなければ、
生き残れないのに、時代が変わると、
前の時代に権力に寄り添っていたことを罪とされてしまう。
本当に、権力というやつは、どれもこれも我が儘で、
意に沿わないやつを滅ぼすことを厭わない。
特に文革は、京劇の存在そのものを否定するような勢いで、
この時代が、あと10年続いたら、
この世から京劇はなくなってしまってたかも、
と思わせる凄まじさがあった。
京劇の中でも代表的な演目らしい、
秦と漢の間、いわゆる「項羽と劉邦」の時代の
「項羽と虞姫」の物語をモチーフにしてるのだが、
そのストーリーと、この映画のストーリーの
混じり方が、もう名人芸!と言いたくなるくらい、
ようできてる気がした。
ワシも2000年くらいに一度中国に行って、
京劇を観て、その衣装の華やかさや、
踊りの華麗さに目を奪われ、
独特の節回しに聴き入ってしまったが、
今の時代、京劇は、どうなってるんやろうか。
せめて迫害されてなければ、ええなあ。
前回観た時は、真正面からストーリーを受け止めたので、
確か、主人公のレスリー・チャン演じる程蝶衣に
思い入れして観た記憶があるが、
今回は、チャン・フォンイー演じる段小樓の心情や、
物語が終わった後の無力感にも、思いを馳せたし、
グォ・ヨウの袁役が最期、どんな気持ちだったのかも、
想像してしまった。
けど、今回一番気持ちが動いたのは、
コン・リー演じる菊仙だった。
都度都度、二人を時にはなじったりもしながら、
見守るようにして、根底では、愛してたんではないか、
でも、最期には、、と思うと、切なくてたまらんかった。
ちょっと気になってググってみたら、
コン・リーさん、今、ジャン・ミッシェル・ジャールと結婚してはった。
これには、ビックリしたわ〜〜!
映画の結末が、映画公開時は知る由もなかった、
レスリー・チャン自身の人生の最期と重なって来て、
余計に切なく感じてしまった。