愛は永遠なれど、時代に翻弄されて。BBBムービー「さらば、わが愛/覇王別姫 4K」。

公式サイト

昔、映画館で観て、めっちゃ綺麗で好きやったんで、
4Kバージョンを観に行ったら、
さらに美しい映像で満足。

調べたら、1993年、30年前の作品やったんやな。
時代物だから却って古さは感じず、
初めて観る人にも楽しめる映画やと思う。

30年前より、ワシ自身、中国の歴史にも詳しくなってるので、
前回より、内容は、しっかり頭に入って来た気がする。
映画は多分清朝末の混乱期から、
文化大革命を潜り抜けた時代くらいまでの中国が舞台。
それにしても、目まぐるしく価値観が変わったもんやなあ。
日本の戦前、戦後の価値観の変化も、ものすごいと思うんやけど、
多分、蔑まれながらも保護されてた清朝時代、
日本に占領されてた時代、国民党が支配した時代、
共産党になり、ひと安心かと思ったら、
文化大革命で、今までで一番、迫害された時代と、
価値観が根底から覆されるような時代を、
いくつも、通り抜けて来たんやなあ。

その時代時代、ある程度、権力に寄り添わなければ、
生き残れないのに、時代が変わると、
前の時代に権力に寄り添っていたことを罪とされてしまう。
本当に、権力というやつは、どれもこれも我が儘で、
意に沿わないやつを滅ぼすことを厭わない。

特に文革は、京劇の存在そのものを否定するような勢いで、
この時代が、あと10年続いたら、
この世から京劇はなくなってしまってたかも、
と思わせる凄まじさがあった。

京劇の中でも代表的な演目らしい、
秦と漢の間、いわゆる「項羽と劉邦」の時代の
「項羽と虞姫」の物語をモチーフにしてるのだが、
そのストーリーと、この映画のストーリーの
混じり方が、もう名人芸!と言いたくなるくらい、
ようできてる気がした。

ワシも2000年くらいに一度中国に行って、
京劇を観て、その衣装の華やかさや、
踊りの華麗さに目を奪われ、
独特の節回しに聴き入ってしまったが、
今の時代、京劇は、どうなってるんやろうか。
せめて迫害されてなければ、ええなあ。

前回観た時は、真正面からストーリーを受け止めたので、
確か、主人公のレスリー・チャン演じる程蝶衣に
思い入れして観た記憶があるが、
今回は、チャン・フォンイー演じる段小樓の心情や、
物語が終わった後の無力感にも、思いを馳せたし、
グォ・ヨウの袁役が最期、どんな気持ちだったのかも、
想像してしまった。
けど、今回一番気持ちが動いたのは、
コン・リー演じる菊仙だった。
都度都度、二人を時にはなじったりもしながら、
見守るようにして、根底では、愛してたんではないか、
でも、最期には、、と思うと、切なくてたまらんかった。
ちょっと気になってググってみたら、
コン・リーさん、今、ジャン・ミッシェル・ジャールと結婚してはった。
これには、ビックリしたわ〜〜!

映画の結末が、映画公開時は知る由もなかった、
レスリー・チャン自身の人生の最期と重なって来て、
余計に切なく感じてしまった。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA