未来のために過去を調べ、再現する、非常に正しい民俗学的映画。BBBムービー「倭文(しづり) 旅するカジの木」。
民間伝説などを含む民俗学も好きだし、
神話と歴史、伝承文学が、混じったような、
影響しあってる状況を紐解くような話も好物だし、
織物などの工芸も興味があるので、
この映画、観ない手はないのだが、
なんとなく、こういう映画は、観るのが慎重になってしまう。
なんどか、その辺の興味で観にいくと、
思いっきりスピな匂いのする映画で、
辟易したことがあったからだ。
今回も用心しつつ、観にいったのだが、
この映画は、全然違っていた。
ある意味、民俗学的な科学的な姿勢で、
神話や言い伝えを考察しつつ、深掘りして、
そこに出てくる古代の布、
「倭文(しづり)」の歴史的な流れを、
東アジア〜東南アジア〜オセアニアまでかけて調べ尽くし、
織物として再現しようとする、
ドキュメンタリーとしても一級品の映画であった。
いや、ただ調べるだけでなく、
この織物を現代という時間軸で再現しようとする意味を考えれば、
とても、挑戦的で、2024年らしい映画、
とも言えるのかもしれない。
しかも、その神話的な部分を、麿赤兒さんをはじめとする、
大駱駝艦(だいらくだかん)とコムアイさんが舞踊で表現するという
ドキュメンタリーを超えた、
素晴らしい演出まである、観どころだらけの映画であった。
メインのストーリーの「倭文(しづり)」の再現、
すごく面白かったのだけど、
前日、不眠で、寝不足やったワシは、
何度か寝落ちしてしまった。
むちゃくちゃ気持ちいい寝落ちやったんやけど、
やはりストーリーが何箇所か、吹っ飛んでいる。
もう一度、観んとあかんなあ、
思わせてくれる、上質な映画であることは、
間違いない、と思う。