このリアリティは認めざるを得ない。BBBムービー「若武者」。
※否定的な意見を含みます。
始まってすぐに「苦手かも」と思った。
5分もしたらイライラし始めた。
そのうち、だんだん腹が立ってきた。
ところどころ、面白いセリフもあったけど、
それを上回る不快感が、ずっと付きまとった。
無口、クール、多弁、
スタイルは違っても、
自分の意見こそ正しい、いや正しいとも思ってないのかな?
その場その場で、自分のやりたいことを、
暴力を使ってまで、押し通そうとするところは、
共通してるように思える若者三人。
理屈も、その場その場での自分を
正当化するツールでしかないように思える。
かと言って、心からやりたいことなどなくて、
本質的には、人生に飽きて、
諦め切ってしまってるようなところもある。
けど、どこかで諦めきれてないので、
思うにまかせない怒りが、理不尽な形で表出する。
こういう若者って、ほんまに今の時代、
どこにでもいるんやろうなあ。
その若者のリアルを、見せられて、
ワシは、不快感を感じてしまってるのだが、
こういう若者を生み出してしまったのは、
ワシら、大人の世代なのかもしれん、
と思って、最後まで、席を立つことなく、
この不愉快な若者たちに向き合った。
イヤイヤながらも観てるうちに、
ある意味、私人逮捕って、
こういうメンタリティから、
流行ってるのかもしれんと思い始めた。
別に正義を貫きたいという強い意志や、思想が、
あるわけではない。
正義というお墨付きをもらった上で、
他人をいたぶる快感を貪る。
そういう意味では、ネットリンチと、
本質的には同じなのかもしれない。
今まで、どうもよくわからなかったので、
ちょっとは、私人逮捕に至るメンタリティに、
この映画で近づけたのかもしれない。
と言いつつも、やっぱり、不愉快な気持ちは拭えない。
最近、流行りなのかもしれないけど、
わざと棒読みするようなセリフ回し、
いつまで続くねん!と突っ込みたくなる、動きのないワンカット、
これも、最近時々目にする、
出演者がカメラ目線で、観客に語り出すような演出、
こういう映画の撮り方も、個人的には、好きではない。
けど、やはりそれが今の若者を描くのに、
功を奏してて、すごくリアリティを感じる絵になっているのだから、
演出の狙いは間違ってないのだろうし、
きちんとその狙いを形にした結果の、
ワシの不快感なら、それはもう仕方ない、
としか言いようがないのかもしれない。
そうか、この作品と同じ監督なんか。
独特のリズム感というか、スタイル、持ってはるなあ。