アメリカン・ユートピア。

昨日の京都、最後にして最大のお目当ては、
京都シネマで、昨日から始まった映画、
アメリカン・ユートピア」の鑑賞であった。

この映画、封切り館でやってるのだが、
関西では今、座席数の多い映画館は休館状態、
なので大阪のロードショー系の映画館はほぼ休館中。
だけど、京都は封切り館でも狭いところがあるので、
中心地でもやってる映画館があるのだ。
京都までわざわざ観に来たのは、そのためだ。

大学の頃からずっとトーキング・ヘッズが好きで、
デビッド・バーンがソロになってからも、
アルバムほぼ全部買ってるので、
観逃すわけにはいかなかった。

ましてや、スパイク・リーが監督となれば。。
この組み合わせ、けっこう意外だったのだが、
観てみると、すごくピッタリ、
パズルピースがハマったような快感があった。

デビッド・バーンと言うと、
トーキング・ヘッズの「ストップ・メイキング・センス」という
ライブ映画の名作があるので、
「あれを超えられるのか?」という心配もあったが、
観てみると、あの映画にきちんと敬意を払いながら、
新たな要素を加えた、ライブ映画の新たな金字塔、
というイメージだった。

と、冷静に書いてるけど、観てるときは、
もう興奮しっぱなしで、映画やのに、
曲終わりで何度も拍手しかけた。
ラストの曲では、立って踊りたい欲望に負けそうだった。
なんとか、頭だけ振りながら踊ってる気持ちで我慢したが。
普段、ライブでもあまり立って観ることないワシが、
そんな気分になるのだから、相当なもんやと思う。

デビッド・バーンがワシより10歳年上で、68歳、
スパイク・リーがその5歳下の63歳。
なのに、モノを作る情熱というか衝動は、
デビューの頃から変わってないんちゃうか、と思わせる。
アイディアも新鮮で豊富、それに熟練の技が加わっている。
もう無敵状態やん。

削ぎ落としたステージ、
演奏者兼ダンサーも、すべてワイヤレスで、演奏しながら踊る。
デビッド・バーンは、相変わらず、
ちょっとふざけたような滑稽な踊りが混じる。
ストップ・メイキング・センスを初めて観たときの興奮も蘇る。

舞台演出もデビッド・バーンとスパイク・リーで、検討しまくったのか、
カメラの動きに一分の迷いもない。
気持ちいいくらい、映像がスパッスパッと決まって行く。

こりゃ、凄いわ。。

ストップ・メイキング・センスとの違いは、
観客も映画の一部のように思えたことだった。
ストップ・メイキング・センスのときは、バーンは、
自分の完成された世界を映画の観客と同じように、
目の前の観客に提示してたように思えるけど、
今回は、観客と一緒にショーを作ってる感じがした。

それは、ショーの内容にも因るのかもしれない。
移民問題(デビッド・バーン自身もスコットランドからの移民)、
差別問題、デビッド・バーンは問いかける。
これも前は観られなかったけど、MCで観客に呼びかけシーンもあった。

そしてそれは、映画のタイトルにも繋がる。
「アメリカン・ユートピア」。
観る前はデビッド・バーンお得意の皮肉なタイトルだと思ってたのだが、
観て思ったのは「この国は、まだ、こんなに良くなる余地があるんだよ」
「みんなで問題考えて、選挙で世の中変えていけば、
もっともっと良くなるんだよ」という
皮肉を飛び越えたポジティブなメッセージに思えた。

出演者も内容とリンクして、
世界中の人々、移民などで構成されてる。
(観たところ、東洋人はいなかったがw)
しかし、ようも、これだけ演奏技術が高くて、踊れる人々を、
うまいこと世界中から集められたもんやなあ。
他には、考えられへんくらいのすごいメンバーやと思う。
最後の曲はRoad to Nowhere。
ついこないだ、この曲のことをブログに書いたばかりだったので、
ちょっと驚いた。

で、さっきも書いたけど、
踊りたくて仕方なくて、頭を振っていた。
それと同時に泣きたいくらい、何かがこみ上げてきた。
ああ、まだ感じたことの半分くらいしか言えてない気がするが、
これ以上のところは言語化できない部分なんかもしれない。
この時期なんで、ゆるゆると拡大していくみたいやけど、
最終的には全国ロードショーになるみたいなんで、皆さん是非!

東京で爆音上映あるみたい。
関西でもやってほしい。
立ち見OK、踊るの歌うのありなら、
ほんまに嬉しいんやけどなあ。

ステージ動画、ありました。
これは、昼間で野外みたいなんで、単純比較はできないけど、
コレ見ると、スパイク・リーの凄さも分かる。
こっちは、フィルムコンサートで、よくできた記録映像やと思うけど、
映画は、それを飛び越えて、それ自体がアート作品になってると思う。

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