山本政志脳天映画祭「てなもんやコネクション」&「闇のカーニバル」。
山本政志監督の久しぶりの長編「脳天パラダイス」のヒットを記念してか、
新宿で6〜7月にやってたらしい「山本政志脳天映画祭」を
十三の第七藝術劇場で、やっている。
「脳天パラダイス」は去年12月に観た。
脳天パラダイス観て、これは「てなもんやコネクション」のノリやなあ、
思って、30年ぶりくらいに「てなもんやコネクション」を観たいと思ったのだが、
サブスク関係で見当たらず、
購入しようにもDVDは超高値で、
VHSはもうデッキ壊れてる。いや壊れてるから捨てたんだった。
「どうやったら観られるやろう」と途方に来れてたんで、
いそいそ出かけてきた。
いやあ!面白かった!
もうドタバタ中のドタバタ。
アホ中のアホ。
西成と香港を舞台に、ありえへんくらいアホなできごとが、
次から次へと、息つく暇なく展開される。
どんな事情か分からんが、おばちゃんの役が途中でおっさんに入れ替わり、
またおばちゃんに戻ったりもする。
もう頭の中、こんがらがるけど、
なんとなくストーリーは繋がってるから、
「それでええか!」思ってしまう。
忘れてたなあ。
若いときの近藤さんは、ほんまかっこええ。
この映画の中では敵役なんやけど、
なんか憎めん。ええ味出してはる。
ストーリーと直接関係ないんやけど、
いきなり西成のおっちゃんたちのメドレーで、
とんでもない「好きになった人」を歌うシーンも大好き。
この映画に出てくる西成は、
パンフレットみたいに極彩色でした。
「知ってるおっちゃんおるやろか?」と思ってしまったのだが、
ここに写ってるのは30年前の西成で、
ワシは、その頃、まだ西成に足、踏み入れてなかったし、
その頃、西成におったおっちゃんも、
元気やとしても30歳年取ってるはずなので、見つかるわけもない。
なのに、探してしまう。
それくらい、おっちゃんたちは、今、西成にもおりそうな感じやったのでした。

ワシは、今まで観た映画の中で、この映画に出てくる西成が一番好きかもしれん。
そう言えば、この映画は、渋谷の円山町に期間限定で山本さんが建てた、
掘っ立て小屋のような劇場で観たんだったな。
渋谷タンクだったかな。
やっぱり観てよかった!
いろんなこと思い出す、楽しい時間でありました。
せっかくなんで、その後やってた「闇のカーニバル」も観た。
「この映画は初めて観るな」と思って観始めたが、
5分後には、観たことあるのん思い出した。
ワシは血の出るシーンや、痛いシーンに弱いのだが、
この映画は、そんなシーン満載なので、
「2時間耐えられるか?」と腰が浮きかけたが、
一回観たことあるので、「あ、来るな」ってのは予想できて、
そのシーンは、目をつむったり、チラ見でしのいだのであった。
一回目観たときは、気がつかなかったけど、オープニングの曲
(上の予告編でも使われてる曲)コクシネルの野方攝さんやったんやな。
さすが、山本政志さん。
内容は「てなもんやコネクション」とは真逆にも思える
陰鬱で救いのない感じなのだが、
やっぱりこれも山本さんらしいなあ、と思えるのだった。
山本さん、とことんパンクやなあ。
素晴らしい。
酔っ払ったり、アホなことして、
グダグダになりながら、野外で一人、朝を迎えたことのある人間なら、
この映画のこと、なんか衝動で理解できそうな気がした。
その気持ちも、理屈ではなく、衝動の部分なんだが。
無理矢理、それを読み解くと、
夜の暗闇で感じる耐えきれないほどの孤独、
すぐとなりに死があるような、
ちょっとしたきっかけで、そっちに行ってしまいそうな恐怖。
朝が来たときのホッとする気持ち、
だけど、反面感じる居心地悪さ。
その朝は自分のものではない、自分の居場所がないような気分。
自分が所属するのは、やはり闇の世界なのだと認識せざるを得ない寂しさ。
そんな気持ちが、なんか一瞬で理解できる気がした。
怖いいけど、無視できない映画やなあ。
山本政志脳天映画祭は、十三、第七藝術劇場で、今週金曜日まで。
名作、迷作、揃ってます。
最新作、「脳天パラダイス」にはALKDOも出てますよ!
是非!