映画「ONODA」。

フランス人監督が撮った小野田寛郎さんの映画「ONODA」。
「最後の日本兵」として、1974年に日本に帰還した方で、
当時、多感な少年時代やったワシにも、
ニュースとして焼き付いていた。

日本に帰ったあと、ちょっとウヨってしまった方なので、
観るのを躊躇したが、出演俳優陣も好きな人が多かったので、
観ておこう、と出かけた。

ただのサバイバルではない。
「戦闘状態」という緊張感を強いられる状況での30年近い日々。
ワシの想像の範囲を超えている。
そこを生き抜く小野田さんの逞しさは凄いのひと言。
こんな過酷な状況で、仲間が段々いなくなっても生き抜く。
パワーも、決断力も、リーダーシップも兼ね備えた人だ。

それだけに戦争を止めるのだけは、
上官の命令がないと、決められない、
という心理がワシには理解できなかった。
あれほどの判断力があれば、
状況を客観的に見て、
戦争が終わったことを判断できそうなものなのに。
それができないのが、戦争教育というものなのか。
一番の恐ろしさは、そこにある気がした。

もちろん、小野田さん役の俳優二人、
仲間の兵隊たちも素晴らしかったんだけど、
上官役のイッセー尾形さんの変わり身の演技の凄さが、
その戦争の恐ろしさを物語っている気がした。
あと、小野田さんを見つける青年役の
仲野太賀くんの繊細な演技も印象に残った。

小野田さんに当初、一緒に隠れてた仲間がいたことは知らんかったなあ。
その仲間と手に入れたラジオで、
戦況を予測して(もう戦争終わってるのだが)、
自分達に有利になように想像して大喜びしてるシーンは、
物語唯一と言っていいくらい、かわいく、笑えるシーンだったんやけど、
それが全然、事実とは異なってることを思うと、
すごく悲しいシーンとも思えるのであった。

小野田さんが帰ってきた1974年は、ワシが小学校を卒業した年。
その頃にも、まだ戦争は終わってなかったんや、
と映画を観終わって、実感した。

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