橋本ヒネモスのBBBムービーvol.3。「RRR」「泥の子と狭い家の物語」「世界は僕らに気づかない」「愚か者のブルース」。

「RRR」。

インド映画が個人的ブームなので、一番話題のこの映画も観とかなきゃ、と思って出かけたが、
ワシが観る普段の映画とは、全然違う劇場の広さと、ほぼ満席の観客にまず、驚く。

映画は、もう笑いが出てくるほどの大スペクタクル。
これでもか、これでもか、と印象的なシーンの目白押し。

恋愛、友情、突然の集団ダンスシーン、予定調和とも言えるハッピーエンド、
というインド映画、お決まりの要素は、すべて踏襲しつつ、
それを全部大スケール、超絶技術で、アップデートした感じか。

これがハリウッド映画やと、話題性を狙った、あまりのあざとさに、
鼻白むんやろうけど、「こんな映画を創りたい!」という衝動が
おぼこ過ぎる気がして、腹立てる気にもならず。
3時間あまり、ドキドキしっぱなしでした。

話題の肩車戦闘シーン。
あれは獅子舞の応用やな、
アジアの伝統文化をちゃんと受け継いでいるな、
と、獅子舞ラブなワシは思ったのでありました。

「泥の子と狭い家の物語」。

30年来の付き合いのある西岡眞博監督、初の長編映画。

知り合いの演出した映画だけに、変に先入観持たないでおこうと思って、
ほとんど前情報を入れずに観に行った。
タイトルと、始まってからのシーンと関西弁で、
「宮本輝さんの『泥の河』みたいなストーリーなんかな、
と思ってたら、
途中から、あれよあれよの謎展開!
あららららら、こういう話やったのね!と驚く。

宗教二世などの家族間の問題、虐待、マインドコントロールなど、
現代社会の問題をいろいろ詰め込みすぎか?と思ったけど、
最終的には、それらをうまく消化できてて、
ずっと暗めで、ちょいおどろおどろしいストーリーやったのに、
観終わったら、けっこうスッキリとしたカタルシスがあった。

「幸せ」について、「自分の頭で考える」ということについて、
改めて、考えさせられる映画だった。

ストーリーとは関係ないけど、
知り合いの創ってる映画となると、
「西岡さん、こういうのん、撮りたかったのか、
あの仕事、頼んで悪かったなあ」とか雑念が入ったり、
「どんな気持ちで、このシーン撮ってたんやろか」とか、
気がつくと、演出側の立場で観てたりで、
フラットに映画鑑賞するのに、少し苦労した。
2回目は、そういうことなしに観られそうな気がするので、
もう一度、観に行きたと思う。

「世界は僕らに気づかない」。

これもあまり内容知らずに観たのだが、大した拾い物だった。
すごい好きな映画になった。

ジャピーノと呼ばれる、フィリピン人と日本人の混血、
日本しか知らないのに、そこに居心地の悪さを感じる少年の、
言ってみれば、アイデンティティ探しの物語なんやけど、
ひとつひとつのエピソード、
ひとつひとつの言葉がに、リアリティがあって、
知らないうちに、自然と涙が出そうになってた。

知っている役者さんは一人も出てなかったのに、
ワシ自身と重なるところは、あまりないのに、
それぞれの登場人物の気持ちと心が同期していた。

主人公は、高校生で同性のパートナーがいるのだが、
そこだけを悩みにするのではなく、
そのことについては、割と家族も周りの人々も自然に受け入れてるのが、
ちょっと驚いた。
そんな時代になってきたんかもしれないなあ。

そのパートナーの言葉、正確には覚えてないのだけど、
「自分を犠牲にするのではなく、自分も幸せになるために、
相手と一緒に人生を送る」みたいな言葉が一番共感した。

「泥の子と狭い家の物語」の後に観たのが良かった。
ふたつとも、「幸せ」の本質について、
改めて、考えさせられるような映画だった。

「愚か者のブルース」。

※否定的な内容を含みます。
この映画が好きな方は、スルーしてもらった方がいいかもしれません。

広島の老舗ストリップ劇場「第一劇場」の閉館に伴い、
その解体工事も含めたストーリーになってると聞いて、気になってた映画。

場末感、ネオン街、ストリップ、
撮れなくなった映画監督、風俗嬢、ヒモ、
そこから漂うダメ臭、
ワシの好きな要素だらけやなあ。
ところが、主人公二人が、どうも好きになれず、
「いつおもろなるのか」思ってるうちに終了。

なんか80年代や「無頼派」を意識してるよう感じなんやけど、
主人公がダメ人間なのもいいんだけど、
そのダメ人間なとこも含めて、
どうも自分に酔ってるような風情が漂ってて、
観てるうちに生理的な嫌悪感が湧いてきた。
クライマックスシーンは、その自酔感が炸裂してて、
どうにも観てられれないくらい辛かった。
あと熊切あさ美さんの童女のような意識的な舌ったらずな喋り方が、
生理的に受け付けず、喋るのを「聞きたくない」と思ってしまった。

関係者の皆さん、この映画のファンの皆さん、すみません!
あくまで、個人の一感想なので、お許しください。

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