ワシは自分の52ヘルツも聞き取れてないのかもしれない。BBBムービー「52ヘルツのクジラたち」。
ちょっと泣ける映画になるよう、
ドラマチックに、盛り上げようとし過ぎな気もしたが、
過去と現在、進行する二つの物語が、うまく絡み合い、
ややこしくなく生理的に理解できる映画やなあ、と思った。
あの過去があったから、今、こんなふうに少年に向き合える、
ってのが、すんなり頭に入って来た。
人はそれぞれの周波数を出してて、
それを聞き取れる人と、聞き取れない人がいるんやな。
自分の52ヘルツを聞き取れる人がいたからって、
その人の52ヘルツが自分に聞き取れるとは限らない。
それは、ほんまにそうやなあ、思う。
ワシなんて、ワシの52ヘルツを聞き取れる人がいるかどうか以前に、
自分自身の52ヘルツも聞き取れてないのかもしれない。
役者さんも、それぞれ皆さん、難しい役どころだと思うけど、
その人に成り切ってる気がした。
宮沢氷魚くんも、出てきた時から、
「あ!こいつ、実は甘やかされて育って、自分の言いなりなやつしか認められん人」
て感じ、してたもんなあ。
ちょっと言うと、頭打ったんやから、皮膚も、骨も気になるけど、
まず脳のこと心配しろよ、とは思った。
一番疑問に思ったんは、志尊淳くんのあれのタイミングが、
どうしてもわからんかった。
母一人子一人で、ずっと言えなかったことが、
アウティングにしろ、母に知られ、受け止めてくれたタイミングでのあれ?
うーん、これは「泣ける映画」装置、使ったかなあ、思ってしまうなあ。
あれは、お母さん、たまらんよなあ。
杉咲花ちゃん、こういいう影があるけど、
芯のところでは真っ直ぐで、強くなっていく役って、
すごい合ってるよなあ、思った。
たぶん、母方なんだと思うんやけど、
祖母との関係も、もう少し、知りたかったな。
主人公の心の中では、こんな感じなんだろうけど、
このポスターのようなシーンが、ほんまに実現してほしかったなあ。