感想を抱く余地のない、圧倒的負の歴史。BBBムービー「ナチ刑法175条」。
ナチスが迫害したのは、ユダヤ人だけではない。
政治犯への迫害は知っていたけれど、
この刑法175条で、同性愛者も迫害の対象になったことは知らなかった。
しかも、強制収容所内のヒエラルキーでは最下層で、
暴行やレイプもあったらしい。
この法律で、約10万人が逮捕され、
1〜1.5万人が強制収容所に送られ、
去勢されたり、医学実験に使われたり、
強制労働させられたりで、戦後、生き残ったのは、4000人。
しかも、戦後も1960年代まで、この法律は、
東ドイツ、西ドイツで、残っていたというから、
ちょっとビックリした。
ほんの50年少し前まで、ドイツでは、同性愛は違法行為だったのだ。
男性同性愛者は、処罰の対象となったが、
女性同性愛者は、最終的には対象外となったらしい。
けど、それも、「妊娠可能だから」という理由、
本人の意思は関係なく、妊娠させられる、
当時は人工授精などないだろうから、
当然、それはレイプまがいの性行為を想定してのことなのだろう。
迫害の根拠は「同性愛は伝染する」という思い込みで、
広まれば、アーリア人が減少していく、という考えがあったかららしい。
この間違った思想、意外と今でも、信じられてて、
同性愛差別者の根底には、
こんな考えがありそうな気もする。
ナチスには、当初は、ゲイで有名な軍人もいて、
ヒットラーも「党の理念に反しない限り、問題なし」としてたらしいが、
そのことで、野党から「ナチスは同性愛政党」みたいなネガキャンを展開されて、
結局、粛清することになったらしい。
野党も、野党やな、、。
第一次大戦後、ナチスが台頭するまでのベルリンは、
世界でも、同性愛者の生きやすい寛容な都市だったらしく、
軍人にも同性愛者がいることから、
175条発布当初は楽観視していた人も多かったらしいが、
最終的には、ここまで迫害されることになってしまったのだ。
この「BBBムービー」では、できるだけ、あらすじとかは省いて、
自分の感想中心に書こうと思っているのだが、
ここまで、知らない、酷いことだらけだと、
感想を挟む余地がない。
このできごを、人権迫害の歴史として、
頭の中に刻んでおくことぐらいしか、
今は、考えることができない。