京都小旅行⑤「小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」@京都文化博物館。

※絵画の写真は、京都文化博物館のホームページより拝借。

戦争画家として知られる人なので、
あまり視界に入れないようにしていた気がする。
けど、その戦争画のうち、一枚を観て、
他のも観てみたい、と思うようになった。
その作品は「國之楯」。

國之盾(1944年、1968年改作)

勇ましく、戦意高揚を目指す他の戦争画と違って、
モチーフも亡くなった兵士の遺体、という戦争画とは思えないものだった。
この作品は、戦後手を加えられて、こんな黒をベースとする色調になったらしいが、
戦争中、金色の円光、背後に桜の花が降り積もってたときも、
依頼した陸軍省に受け取りを拒否されたという。
なにやら、戦意高揚に留まらない、死生観を湛えた作品だと思う。

この作品も展示されてると知り、展覧会期間が終わりに近づいてることもあって、
予定変更して、京都文化博物館で開催中の
小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」に行ってみることにした。

ほんまにこの一枚しか知らずに行ったのだが、
行ってみて観ると、非常に幅の広い多彩な画家やなあ、と思った。

日本画では、伝統を踏まえつつ、洋画の技術も取り入れたような
(ワシの観た感想で、きちんと調べたわけではないです。)、
緻密な作品が並んでいた。
色使いも上品で美しい。

洋画風の作品では、今の作品と言われても「ふ〜ん」と思ってしまうくらい、
モダンで、やはり色使いが上品で美しい。

そして、戦争画家としての作品も、「國之盾」同様、
戦意高揚だけが目的ではないような叙情性漂う作品ばかりだった。
色使いからして、他の作品同様、淡く美しい。

よくもまあ、当時の陸軍が、こういう作品を許したものだと思う。
小早川さんは、どういうつもりで描いたのだろう。
ワシが観ると、明らかに戦意高揚とは違って、
何か、人間の内面や、戦闘時以外の兵士の気持ちを
描こうとしてるとしか思えないのだが。
けど、小早川さんは、戦後、自分が「戦犯」として
捕らえられるのを疑わなかったという。
ということは、これらの作品は、やはり戦争遂行のために、描かれたのだろうか。

う〜む、納得点が見いだせない。
ひとつのヒントは、小早川さんが仏門でもあったということだ。
それ故の死生観が表れているのかもしれないけど、
それだけだと「國之盾」はある程度理解できても、
「虫の音」などの作品の納得には至らない。
とにかく興味深い画家だ。
もう少し、追っかけてみたくなった。

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