アートは社会と関わりを持つ時代になった。「バンクシーって誰?展」。怒涛のレポート③

大阪駅前のグランフロント北館ナレッジキャピタル イベントラボで開催中の
バンクシーって誰?展」に行ってきた。

実を言うと、作風はあまり好きではない。
最初、ブラーのCDジャケットで観た時は、かっこいいと思ったものの、
作品のひとつひとつをいいと思ったことはあまりなかった。

けど、今、世界で一番注目を浴びるアートではあるので、
行っておかなきゃ、とは思ってた。

行ってみると、展示の仕方がすごく良くて、バンクシーについて、
「ワシは、ほとんど何も知らんかったなあ」思ってしまった。

バンクシーの作品は、街中の塀に描かれるものなんで、
できるだけ、描かれた状況を再現して展示してあった。

「なぜそこに、その時に、この絵なのか」というのが分かると、
ひとつひとつ「なるほどなあ」と思ってしまうのだった。
例えば、スティーブ・ジョブズが初代マッキントッシュ持って、逃げる絵は、
2015年、フランスのカレーの壁に描かれた。
当時は、シリア難民のヨーロッパ流入が問題視されていた。
その風潮に、「ジョブズだってシリア難民の子孫だぜ」と痛烈に言い放ったのだ。
重箱の隅をつつけば、「ジョブズみたいに優秀な人だから受け入れろ」ということ?
普通の突出した取り柄のない人は、どうなん?って気もしないではないが、
この絵が、社会に突きつけた問題は大きかったんだろうな、とは思う。

逆に言うと、その絵が、そこに、そのときに描かれる理由がなければ、
バンクシー作品ではないのかもしれない。

作画中のバンクシー。

バンクシーがオープンした、パレスチナのベツレヘムにあり、「世界一眺めの悪いホテル」と言われるウォールドオフホテルは、
イスラエルが建設した分断壁に面しているらしい。
その展示は、ホテルのレストランを模した窓からその壁が見え、
壁に描かれた作品がプロジェクションマッピングで変化していく。

う〜〜む、よう考えられた展示やな。

これからのアートが全部こうなる、とは言わないけど、
社会の動きと呼応して、その何かを変革していこうという動きは、
とても面白いと思った。
匿名である理由もよくわかった。
元々、名声を求めない、という姿勢は、
「ええなあ」と思っていたしな。

全部観終わって、けっこうバンクシーのイメージ変わって、
かなり好感を持ったが、
やはり作品単体としては、あまり好きになれなかったので、
手元に置いておきたい、という気持ちにはなれず、
グッズも買わずに済んだ。
これはこれで上出来ですわ。

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