橋本ヒネモスのBBBムービーvol.22「Single8」「GOLD FISH」「死体の人」「デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・ドリーム」。

「Single8」。

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ワシらの世代の映画少年たちなら、
みんなどこか共通の記憶があるんやろうなあ、
ビデオが普及する前の貴重な8ミリフィルムで
工夫を凝らしての自主映画撮影。

高校生がいろいろ工夫するのも面白いし、
ほのかな恋愛感情が混じるのも、
ありがちだけど、必須要素でもあるよな。

けど、観てて、あまりキュンとしたり、
切なくなったりしなかったのはなぜだろう。
苦労しながらも、けっこうとんとん拍子に物事が進んだからなのか。
ワシが、自主撮影にのめり込むような経験がなかったからなのか。

スピルバーグの「フェイブルマンズ」と公開時期が重なったのは、
ちょっと気の毒かも。
ワシ的にはフェイブルマンズの方は、行く気にはなれなかったのだが。

「GOLDFISH」。

公式サイト

アナーキー(亜無亜危異)のギタリスト、藤沼伸一さんが監督、音楽を担当した、
藤沼さんの半生をモチーフにした映画。
みんなどこかダメで、けど映画としては骨太で、切なくて、
めっちゃのめり込んで観てしまった。

もちろん永瀬正敏さんはかっこええんだが、
ワシは北村有起哉さんの情けなさ、ダメっぷりが好きやったなあ。
渋川清彦さんのアホっぷりも良かったけど、
モデルになってるはずの仲野茂さん、怒ってないやろか(笑)
まあ、この映画に出演もされてるんで、大丈夫なんやろな。
他にも町田康さんやPANTAさん、うじきつよしさんとか、
往年のパンクファンならたまらん人たちが出演してる。

藤沼さん、還暦にしてこれが監督デビュー作とは思えない
しっかりした作りで、この時代とか知らん人でも、
ロックとかあまり興味ない人でも、
ちゃんと楽しめる作品になってると思う。

初期衝動が、年月を経て、初期衝動を保ったまま、
彼らにしか出せない音になっていく。
それはある意味、音楽としてのあるべき姿かもしれんな、と思った。
たとえ、新しい聴衆に、その音が受け入れられなくても。
懐メロとして聴く人たちに、違和感を持たれたとしても。
懐メロとして聴く人たちに、その変化が気づいてもらえないとしても。

「死体の人」。

公式サイト

死ぬことに関しては、プロのはずの死体役の役者が、
現実の中の死と向き合うことで、結局は生きることと向き合うという
物語の骨格が既に面白い。
その骨格から、溢れでるエピソードは、当然面白くなる。

地味だけど、生きるのが下手な人に向ける視線が優しい映画やなあ、と思う。

正確には覚えてないんやけど、映画に出てくる名言、
「死ぬことは悪いことではない。
少なくとも、死ぬことに怯える必要がなくなるのだから」みたいな言葉に、
すげえ、うなずいた。

「デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム」。

公式サイト

ボウイの曲が出てこないボウイの伝記映画で、
ガッカリしたことがあったので、
今回は、その心配なく安心して観られた。

溢れんばかりの貴重映像に、使いたい放題の本人の音源、
本人のインタビュー肉声で、綴るボウイ史。
なんとも、贅沢なお宝満載の映画である。

大まかに言うと、編年的なんやけど、
ときどき古い時代に新しいのが混じったり、その逆だったり。

それらを使って能動的、必然的に変化するボウイを描いて行く。
ボウイを俯瞰して観ると、ほんまに変わり続けた人なんやなあ、というのがよくわかる。
それは良く伝わるのだが、なんか腑に落ちないとこもある。

なんやろ?としばらく考えた。
そうか、すべての素材がボウイ側からのものなので、
なんとなく企業広報を見せられてるような気分にもなっちゃうんか。
よく言えば、イメージビデオ、音楽なので、プロモーションビデオか。
それにしては二時間越えは長すぎる気もするなあ。

映画監督の第三者の視点とか批判的視点もあれば、
もう少し深みが出たんかもしれんなあ。

企業からの一方的な広告が通じにくくなってる現在、
こういうワンウェイのコミュニケーションって、
時代とのギャップも、ちょっと感じてしまったのかもしれない。

あと、こうやって、編年的に全体像を観る機会は、あまりなかったかもしれんけど、
ここのエピソードは、だいたい知ってるものが多かったです。

ま、宝焼酎や戦メリ、京都でのプライベートフォトも入ってるんで、
日本人ファンにはたまらん映画であることは間違い無いです。

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