アイデンティティとは。BBBムービー「ソウルに帰る」。
朝鮮戦争の頃、「せめて子供の命だけでも」と、欧米に養子に出された
子どもを主人公にしている、という意味では、
「ブルーバイユー」と同じ立場の主人公なのかもしれない。
が、「ブルーバイユー」が、その主人公の置かれた
社会状況がテーマだったのに比べると、
こちらは、かなり主人公の女性、その人の心の動きがテーマになってる。
ストーリー的には、かなりわかりにくい物語かもしれんけど、
そこに重きを置かずに観てると、
それほど不自然な気にはならなかった。
ところどころ、主人公の理解不能な言動もあったけど、
彼女の定まらない、さまようアイデンティティと重ねると、
そこも、気にはならない。
終わり方が意外だったけど、
「まだ途中の物語」と理解することにした。
だとしたら、彼女のアイデンティティはまだ定まっておらず、
その結果、彼女の心に、ほんまに触れてくれる人は、
まだ現れてない、ということになるのかもしれない。
実の父、母、育ての親、恋人、友だち含めて。
そう考えると、かなり寂しい物語なのかもしれないが、
終わり方に「アイデンティティが定まらないまま、生きていく」
もしくは「生まれや育ちではないところにアイデンティティを置く」
という彼女の覚悟みたいなものを感じるからか、
ややこしい物語の割には、
意外と、爽やかで気持ちのいい
読後感が残ったのであった。
「どこが」とはきちんと言えないのだけど、
なんか「新しさ」を感じる映画でもありました。
個人的にはブルーバイユーの方が好きやけど、
これも割と好きな映画やな。