生活の中に世代から世代へと繋ぐ芸能があった。BBBムービー「ウムイ 芸能の村」。

予告編を含む番組。

公式サイト

ようやく観にいけた。
映画「カタブイ」の監督、ダニエル・ロペスさんの新作映画は、
宜野座村の伝統芸能をモチーフにしたドキュメンタリー映画。

全編にカタブイにも感じた緩やかな時間と詩情漂う、
観てるだけで気持ちのいい映画だった。
だが、内容的には、相当濃い。

舞踊、器楽演奏、獅子舞、空手、
宜野座村に伝わる数々の伝統芸能。
それを、現実の生活の中で捉えてるとこが、とてもいい。
生活が垣間見える映像だけど、
ひとつひとつの情景が詩情を讃えてるのもすごく好き。

博物館で観る伝統芸能ではなく、
生活の中で、それを先達から受け継ぎ、
現代のもの、自分自身のものとして捉え、
後世に繋いでいこうとする人々の苦闘や工夫に、
スタッフも真剣に向き合い、
徒にノンシチュエーションだったり、
霧の漂う森の中だったりの、
幻想的な絵作りに逃げず、
現実の風景の中で幽玄な景色を撮ろうとしている。
ほんまに素晴らしいなあ。

沖縄でもやはり伝統芸能の担い手は、減っているらしい。
その中で、住民は、次世代に伝えていく自分たちの役割を、
確かに感じながら、その「思い(ウムイ)」を、届ける。
伝統が、時代に合わせて、少しずつ形を変えるのは仕方ない。
だからこそ、形より大切な、ウムイを伝えたいのだろう。

出演者の名前をスーパーで入れないのもいい。
ひとりひとり、芸能のプロフェッショナルで、特別な人なのではなく、
市井に生きる人々が生活の中で、
伝統芸能と向き合ってることを感じさせてくれる。

宜野座村には、本当にいろいろな伝統芸能が今も伝わってるらしく、
その分、シーンの数も多いのだが、
たとえば、漁の踊りの練習→親子での釣りシーン、
みたいな感じで、緩く繋がってるところも、
いろんな芸能が生活を媒介として繋がってることを感じさせてくれて面白い。

ポイントポイントで町中を歩きまる獅子舞が出てきて、
ある意味、狂言回しの役割をしてるようにも思える。
それが他の伝統芸能と同一画面に映らないことで、
凛とした空気を保っている気もした。

終わり方が、とても好きだった。
やっぱり、伝統芸能の担い手は、
この村で生活する一人一人なんやなー、と感じて。

きっと、宜野座だけでなく、沖縄では他でも、
宜野座のように、世代と世代を、
伝統芸能の中に流れるウムイで繋いで行ってる町が、
いくつもあるのだろう。
やっぱり豊かな土地だなあ。

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