橋本ヒネモスのBBBムービーvol.19「The Son 息子」「オットーという男」「雑魚どもよ、大志を抱け」。

今回は、比較的大きな映画館でやってるメジャー映画を3本。
ワシがあまり行かないメジャー映画ではあるが、
この3本は、どれもええ映画やな、思いました。

「The Son/息子」。

※ネタバレあり。

公式サイト

父と息子の距離感、父にされて嫌だったのと似たことを、
考え方は全然違っても、息子にやってしまっていた罪悪感。
その辺、すごくリアルだったのだが、
今回、ワシは結末のシーンでいろいろ考えてしまった。

ワシは死んだことがないので共感、とまでは言い切れんし、
「こうだ」と決めつける気もないのだが、
自殺する人って、みんながみんな覚悟を決めて、
最終手段として、自殺に至るとは、限らない気がする。
死を日常的に近くに感じてる人が、
「今なら死ねる」と思ってそれに至ることもるんやないか、と思う。

彼の場合、両親が仲良かった一番幸せな時代を
一瞬彷彿させる瞬間があった。
けど、それが長く続かないこともよくわかってる。
物語では描かれてはいないけど、
その瞬間、こんなこと考えてもおかしくないような気がする。

それを感じていたからか、
ワシは、幸せなシーンを観ながら、
次に来る大きな波を感じてしまっていた。

最後のどんでん返しに次ぐ、どんでん返しは、
悲しいけど、納得いってしまった。
最終的にこの映画を認めよう、と思ってしまった。

この映画の結論が「やっぱり医者に任せましょう」じゃないといいな、とは思いながら。

余談ではあるが、そういう「今なら、、」
みたいなことを考える気持ちが、ワシにもあるので、
ワシは、防護壁のない駅のホームで、
列の一番前で電車を待つことができない。
その瞬間「今なら、、」と思ってしまうのではないか、
と思うと、後退りしてしまう。
高所恐怖症なのも、同じ理由かもしれない。

「オットーという男」。

公式サイト

じじい、ばばあ、老人が主人公の映画に目がないワシは、
当然のように観に行った。

たまたまだけど、これも自殺が絡む物語。
頑固で、へんくつな嫌われ者のじじいが、死のうとするたびに、
近所に越してきた移民家族に邪魔されて、、。

彼、むちゃくちゃ保守的に見えて、
根っこは優しくて公平な考えの持ち主なんやろなあ。

彼の世界に入り込んで、彼を変えてゆく、
あるいは本来の彼を掘り起こすのはメキシコ人移民、
トランスジェンダー男性、野良猫も含めマイノリティ。
仲違いしてしまったが、若い頃の親友も黒人男性だった。

利害関係とか、政治とか人種とか超えて、
人間が本来持ってる良心以上の正義ってないんやないかな、
と思わせてくれるええ映画やな、と思った。

へんくつなじじいが、子どもをきっかけに、こころを開く、
というと、ワシの好きな二つの映画を思い出した。

ひとつは「ヴィンセントが教えてくれたこと」。

そしてもうひとつは「わたしは、ダニエル・ブレイク」。

なんとなく、「オットーという男」は、「わたしは、ダニエル・ブレイク」を
もう少しわかりやすく、一般ウケするようにリメイクした
ディフュージョン版のような気もした。

じじいで比べると、ワシは「ヴィンセントが教えてくれたこと」の
ビル・マーレイの演じるじじいがダントツで好きやな。

「雑魚どもよ、大志を抱け!」

公式サイト

老人ものに負けず劣らず少年の友情もの、好きなんで、
「基本スタンドバイミーの焼き直しで、
関西ジャニーズJr.の誰かが出てるタレント映画なんやろな」
と思いつつ、観に行った。
とんでもない誤解だった。
すんません!

確かに四人組とか、
鉄道とか、冒険とか、少年たちの環境とか、
「スタンドバイミー」を思わすところあるけど、
それはきっと名作へのオマージュなのだろう。

きちんと敬意を払った上で、
たぶん1970年代の少年たちを描いている。
昔の話ではなく、ちゃんと今の時代にも通じるように。

少年だけでなく、大人も、登場人物、誰もが、
傷や欠点を抱えている。
それをきちんと晒して描いている。
少年たちの狭い世界ならではの葛藤もリアル。
ワシにも思いあたる感情、
忘れてたけど、ああ!こんなこと感じてた!
と思うことが、いろいろあった。

今の基準やと、多少デリカシーに欠けるとして
問題視されるような表現もあったけど、
当時としては、それは普通にあったんやろな。
そういう意味では、設定を少し昔にしてるのは、
賢い方法やなあ、と思った。

去年観た「サバカン」に並ぶ少年友情映画の名作やと思う。

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