ワシからすると、那覇よりも札幌よりも、近くにある現実。BBBムービー「ビヨンド・ユートピア 脱北」。

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言葉を失う。
過去の歴史ではない。まさに、今も繰り返されてる現実。
遠い国の話ではない。大阪から住むワシからしたら、
那覇よりも、札幌よりも、近いところにある現実なのだ。
ワシの隣に住んでるような顔をした
おっちゃんや、おばあちゃんや、子どもたちが、
体験してる現実なのだ。

一体、共産主義とは、なんなのだろう。
すごくうまく機能したら、
資本主義よりも進んだ体制じゃないか、と思うこともある。
実際、そう思われてたから、一時、世界に広まったのであろう。

だけど、現実としては、絶対王政よりも、さらに民衆を奴隷化する体制になってる。
一応、形としては、民衆から出てきた民衆のための政治体制だから、
絶対王政以上に、反対の声を上げにくい気がする。
独裁と言って、間違いないだろう。
しかし、ほぼ全ての独裁が一代持たずに打倒されてるのに比べ、
この体制は世襲されているのだ。
独裁と絶対王政のそれぞれ権力者に有利な要素を抜き出して、
合体させたかのような、
反抗のしようのない体制になってる気がした。

共産主義の根本的な理念とは、ある意味、真逆の状況なのではないか。
なぜ、そんなことになるのだろう。
思うに、たぶん人間が神ではないからだろう。
この世に、神がいて、すべての人を公平に扱えば、
共産主義は、機能するのかもしれない。
けど、この世に実体としての神はいないので、その役割を人間が代行する。
民衆からは神にも近い存在として、その役割を代行するが、
もちろん、その人も人間なのだから、
自分の利益誘導をするし、
自分の既得権を脅かしそうな存在を排除したりもする。
かくして、恐怖で民衆を支配する体制が出来上がり、世襲される。
情報を操作して、自分を神のように崇める国民を育てる。

もし、自分が1000キロずれて、あの国に生まれてたら、どうなってただろう、
と考えると、体がガクガク震えるような恐怖を覚えた。
あの人を、心から信じて、崇めて、疑わず、
子どもの頃から、鞭打たれるような練習で、
泣きながら、あのマスゲームを習得して、
それでも、いつ餓死するかもわからないような食生活で、
いつ密告されるか、ビクビクしながら、
友達の誰かを密告して、、。

そこに自分はいない。
自分を探す努力すら、下手をすれば、
叛逆行為になってしまうかもしれない。
一生、自分自身にならないまま、
国のために、生を終える。
何のために生まれて来たのか、
わからなくなりそうで、
映画観ながら、パニックを起こしそうになった。

こんなことが、本当にワシのすぐ近くで行われているのか。

この映画は、そこから脱出しようとする家族を、
生の映像で追いかける。
リアルなんてもんじゃない。
どの瞬間も、息が止まりそうな緊張感だ。

観てて不思議だったのは、
中国に脱出した家族が、ベトナム、ラオス、タイと、
逃避行を続けることだった。
目的地の韓国から、どんどん遠ざかっている。
観てるうちに分かったのは、
中国、ベトナム、ラオスが、すべて共産主義の親北朝鮮国家だから、ということだった。
つまり権力に見つかれば、北朝鮮に強制送還される。
一度、脱北した人間が、強制送還されると、どうなるかは、明白だ。
そうか、地続きで最短距離がタイなのだ。

なので、この家族を助けるのは、
各国のブローカーなどの民間人だ。
一体、国というのは、なんなのだろう、と思わざるを得ない。
その民間のブローカーも、
慈悲や善意で、家族を助けるのではない。
単に金のためなのだ。

この家族は奇跡的に助かったけど、
助からなかった幾人もの人々がいることは、
想像に難くない。
現に映画にも、一度は中国に脱出したものの、
拘束されて、行方のわからない息子を待ち続ける母親が出てくる。

これだけの悲劇を生みながらも、
あの国の指導者は、ひとりひとりの国民よりも、
核兵器の保持に固執する。
核兵器で何を守ろうと言うのだろう。
実際に多くの国民を、自ら葬っておきながら。

この圧倒的な現実を前に、
世界は何ができるのだろう。
ワシは何ができるのだろう。

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